洗浄・洗剤雑感20161221a

論文発表あれこれ

9月からこのページの更新をサボっていました。では、久々に…

大学教員の仕事の二本柱は教育と研究。院生と協力して研究を論文としてまとめて発表することは、教育面にも研究面にも通じる非常に重要な作業です。でもこの作業、私はあまり好きでない。いや、提出するまではそれなりにやりがいもあるのですが、査読者から納得できない意見を出されたときは強烈なストレスのもと。

最近は邦文雑誌に3件採択されました。美容・化粧のリスク表現に関するもの1件と、マイクロバブル洗浄に関するものが2件。これは良かった。それから、オーラルヘルスが生活満足度に与える影響に関する英文が1件アクセプトされました。これは大変良かった。歯科医を含まない著者グループで歯科医が中心の雑誌へのチャレンジで、厳しいかと思っていたら受け入れてもらえました。

さて、悪い結果が1件。研究室で中心的課題として取り組んでいるのが洗浄力と汚れの付着力を確率密度関数として表して、洗浄力の新たな指標を得るというものです。これは海外の英文雑誌に投稿。実は、その雑誌は比較的よくチェックしていて、オリジナリティが無い(と私が感じた)ものとか、実験手法の致命的な問題や、明らかにおかしい結果が含まれている等、何でもありのような雰囲気を感じ取っていたのでリジェクトはあり得ないと予想していたのですが・・・、結果はリジェクト。そんな馬鹿な!!っと理由を見ると・・・

査読者1はその内容が界面化学的な考察に結び付くと期待していたのに期待に反したといってのリジェクト。いや、あの、自分勝手にハードルを設けて、そのハードルをクリアしていないからバツとは。だれも界面化学的に考察するなんて言ってないですから。

査読者2は再汚染を考慮に入れていないのがダメだとの主張。再汚染について勉強しろとのたまう。いや、そんなのは十分に知ってますから。再汚染を無視できる条件でやってるでしょうに。再汚染を考察するにしても、それは再汚染なしの研究の後でしょう。

いや、この論文を通すべきだとは言いませんよ。実際に分布の形状はなぜ?とか、計算過程での種々の部分で改善すべき点も多々あるだろうことは事実。自分たちの気付いていない本質的なところでグサッと生命を絶たれることもあり得るだろうことも覚悟しています。ただ、今回の2つの査読意見はないでしょう。洗浄について学び始めたばかりの修士院生の意見のような内容です。

ちょっと変わった考え方を提案するという論文ですが、こういうのは受け入れられにくいんでしょう。査読する側も、とんでもないものを掲載可にして責任を問われるのを恐れるでしょうから。論文数を稼ぐには、実験方法から考察まで引用文献で説明できるような既出知識の組み合わせパターンの方が適していると思います。自分自身が査読者になった時のことをイメージすると、方法や考察等が引用・引用で埋まっていたら、その部分はクリアしていると考えて安心しますから。

でも、引用、引用で組み立てられるパターン化した論文っていうのは、そのうち人工知能でも書き上げることができるようになるんじゃないでしょうかね。

さて、愚痴はここまで。論文のポイントを理解してくれるジャーナルを探して出直しです。永久難民にならないことを祈りつつ…

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