大矢勝研究室の案内ページ

研究分野:「洗浄と洗剤の科学」・「環境と安全の情報リテラシー」

【大学院】横浜国立大学大学院環境情報研究院環境リスクマネジメント専攻
生命環境マネジメントコース
【学部】横浜国立大学理工学部化学・生命系学科化学応用EP
(2016年7月16日改訂)

★この研究室が扱う研究テーマ

この研究室は洗剤と洗浄を中心にした実験系研究と、環境と安全に関する情 報リテラシーに関する研究の2つの分野の研究・教育を行っています。

(1) 洗浄と洗剤の科学
生活場面から各種産業に至る広範な分野で行われている洗浄を科学的に系統だててまとめる「洗浄学」の構築を目指して研究に取り組んで います。汚れ落ちのメカニズムは界面活性剤による界面化学的作用、酸・塩基による溶解、酸化反応、キレート作用、光反応や超音波、高 圧水、プラズマの作用など多種多様ですが、未知の洗浄機構を明らかにする実験研究に取り組むとともに、種々の洗浄
メカニズムをデータベースとして整理することを目指しています。また今後の洗浄は特に環境負荷が少ないことが要求されるので、汚れ落としの能力と環 境影響から総合的に評価していく手法の開発が望まれています。本研究室では、汚れ落としの能力を客観的に評価するための種々の研究に 取り組むとともに、洗剤類の水生生物毒性の評価法の改善、また資源・エネルギー的な視点からの洗浄・洗剤の環境影響評価などに取り組 んでいます。

(2)環境と安全に関する情報リテラシー
ここで扱う情報リテラシーとはコンピュータの扱い方そのもの(コンピュータ・リテラシー)ではなく、より正しい情報を収集し、それを分かりやすく 整理し、論理的に思考して、自身の判断に結びつける一連の情報処理能力を指します。本研究室では環境と安全をテーマに、消費者教育に取り入れるこ とのできる情報リテラシー教育の開発に取り組んでいきます。研究対象としては、まず今後の地球環境時代に論理的思考がなぜ大切なのかというロジッ クに始まり、教育内容としてどのようなものが含まれるか、その具体的な教材開発等々に取り組んでいきます。具体的な研究内容としては、環境・安全 問題に関する「論理-感情」尺度の開発、数値感覚を向上させるための教育プログラム開発、環境・安全関連各種項目に対する関心度による消費者セグ メンテーション、具体的な個別非科学情報の実験的検証と問題指摘などが含まれます。

   ACCIS 2015 Japan
佐世保での国際会議に参加して(2015年11月24-27日)

★メンバ
ー構成と最近の研究テーマ

【本年・昨
年のメンバー構成】
2016年度 D3:2名、D2:1名、D1:1名、M2:6名(留学生3名)、M1:2名(内留学生2名)、B4:3名
2015年度 D2:2名、D1:1名、M2:2名、M1:6名(留学生3名)、B4:2名


★大学院博士課程後期について

★ドクター出身者は就職に不利?
一般就職(専門職)は学部卒よりマスターコース出身者の方が就職は有利になりますが、マスターコースからドクターコースに進学するとかえって 不利になるといわれています。研究能力や論文発表数だけでは社会的に有能だとは認められず、かえって狭い範囲の研究分野に閉じこもった堅苦し さがイメージされ、それが避けられる原因になっていると考えられます。しかし、理系知識と経験に加えてドクターコース出身者らしいプレゼンテーション能力(英語能力含む)と発想力・思考力等が備わったバランスのとれ た人材ならどうでしょうか?まともな企業・組織で、そういう人材を求めないところはありません。将来の知的職種の幹部候補的な人材を目指して 頑張ってください。
★社会人入学に関して
社会人に対しては特別な入学試験制度があります。また、特に後期課程では社会人は勤務先での業務と大学での研究を両立できるような配慮があり ます。洗剤・洗浄分野で何らかの研究が途中段階で止まっており、それを再び続行したいと思った方、環境・安全関連商品を取り扱う企業で、消費 者情報のあり方について研究したいと考えるようになった方等、大学院入学を考慮してみてください。

さて本研究室では次のような方々に入学・進学することをお勧めします。

【情報発信に関心のある人】

この研究室は、環境問題や安全性に関連する分野の消費者情報を社会に向けて発信していく人材を育成することを第一の目標としてます。そのた め、差別化要素として論理性とバランス力、およびプレゼンテーション能力を身につけてもらい、また著作等発表までの具体的戦略を考えていきま す。環境・安全分野の情報発信者にとって博士の学位は必須ですが、どのようなテーマ・内容が一般に受け入れられるのかを感じ取ることのできる 直観力を身につけることも求められます。メインの研究テーマは情報系か洗浄の実験系かのどちらかを選んで、その研究を通して論理性とプレゼン テーション能力を高めてもらいますが、それ以外に環境問題や安全性問題に関するディスカッションを通して種々の思考パターンを身につけるとと もに情報発信の具体的戦略を練ってもらいます。共著の形で情報発信を援助する等のパターンも考えられます。次のような人たちにお勧めです。

◇一般就職に夢が感じられず、世の中に何らか影響力を残したいと考えている学部生・修士課程学生。将来的には総研や調査系企業等で研究者や コンサルタントとして活躍する人材育成を目指しています。

◇既に社会人としての経験があり、消費関連の情報を発信したい気持ちはあるが、それがぼんやりとしていて具体的行動に結びつかないという 人。具体的には著作活動を援助します。

◇現在企業の技術系スタッフ等で、消費者心理を学んで商品開発にフィードバックしたいと考えている人や、グローバルな環境問題との関連で企 業活動の在り方をロジカルに考察したいという人。

【洗浄・洗剤分野のスペシャリストを目指す人】
今はまだ学問分野としての「洗浄学」は確立されていませんが、本研究室は科学的な視点から洗浄を学ぶことのできる数少ない研究室の一つです。 特に「洗浄力とは何か?」を考察したい人にとっては、本研究室は最も適した研究環境であるといえます。汚れの付着力が正規分布に従い、汚れの 除去作用(一次反応の速度定数)が累積正規分布に従うとの前提のもと、確率密度関数を利用して洗浄率と洗浄力を結びつける手法を中心に、絶対 的な洗浄力指標を求める手法の開発に取り組んでいます。強極性油、中極性油、無極性油、たん白質、親水性固体粒子、疎水性固体粒子の6種の汚 れ別の洗浄試験方法の開発、金属等の硬質表面を対象とした洗浄剤の試験方法の開発、有色汚れの付着量を画像データから計算する手法の開発な ど、各種洗浄試験方法を学ぶことができます。また界面活性剤の水生生物毒性について界面化学的な視点からアプローチしている点も特徴的です。


◇洗浄の科学に関心があり、そのスペシャリストを目指したい人。洗浄関連企業の研究・技術者や、ベンチャーを立ち上げる等の可能性もあります。

◇洗浄・洗剤関連の技術者であるが、その経験を活かしてより科学的に知識を整理して博士論文にまとめることを希望する人。既に独自の洗浄技術を有 しているが、その利点を科学的に証明する、または改良したいというニーズにも適合します。

◇洗剤の環境影響について情報学的視点と実験的検証により研究することを望む人。

★大学院博士課程前期について

●研究テーマについて

研究テーマとして「洗浄と洗剤の科学」か「環境と安全の情報リテラシー」の2つの分野のうちの一つを選んでもらいます。

(1)洗浄と洗剤の科学分野

洗浄力が優れており環境にやさしい洗浄方法・洗浄剤を評価することを目的とした研究テーマです。具体的な研究内容は、洗浄力試験系の研究と洗浄剤 の環境影響に関する研究の2つの系統があります。洗浄力試験系では、汚れの化学分析(各種クロマトグラフィー、たん白質や鉄分の呈色定量、原子吸 光光度法など)、画像データによる汚れ量算出(画像抽出や色データの変換等を行うアプリケーションを作成します)、確率密度関数を利用しての洗浄 挙動シミュレーションなどを行います。洗浄剤の環境影響評価としては、界面活性剤の化学分析(HPLC、LC-MSなど)、オオミジンコ等を用い た洗浄剤の水生生物毒性試験、界面活性剤の生分解性試験、洗浄剤や洗浄方法のライフサイクルアセスメント(LCA)などをテーマに研究に取り組み ます。

(2)環境と安全の情報リテラシー分野
環境と安全の情報リテラシーの教育方法に関する研究を行います。具体的な研究内容としては、消費者情報の調査、消費者意識調査等を行います。消費 者情報の調査としては、過去に書籍調査とインターネット上の情報調査を行ってきました。書籍調査では洗剤や化粧品等に関連する書籍の環境影響や安 全性に関する記述の調査などを行ってきました。事前に有害性を強調しているか有害性を否定しているかの記述表現尺度を多数の被験者を対象とした調 査票から作成し、その尺度に照らし合わせて各種書籍の内容を数値化します。そして洗剤の有害性を強調している書籍か有害性を否定している書籍かを 各項目ごとに判定します。過去の学術研究結果から著しくかけ離れた主張を繰り広げている書籍は非科学的な内容の書籍であると判定できます。また、 インターネット上の情報調査では、各種キーワードをもとに情報を自動収集するアプリケーションを作成し、収集した情報を整理・分析します。また消 費者意識調査では各種環境問題への関心度や問題意識等に関するアンケート調査を行い、その結果を多変量解析や共分散構造分析等の各種統計手法を用 いて解析します。環境問題は地球レベルから身近な安全性の問題まで幅が広いのですが、そのバランス感覚が重要であると考え、そのバランスの偏りに 対応した消費者教育の在り方に結びつけることを目指しています。

●博士課程前期の学生に課される研究ノルマ
◇1週間のうち20時間以上、研究室での研究活動に取り組む(在室時間を記録します)。
◇毎週1回はゼミで研究の進捗状況を報告する(発表は原則として英語で)。
◇最低でも2回の学会発表を課す。

●進路・就職について
洗浄と洗剤の科学分野の研究を選んだ学生(前期修了者)は、環境系や製造業の研究・技術系スタッフとして就職する場合が大部分を占めます。情報系 の研究を選んだ学生は調査系の企業等に就職しています。真面目に研究に取り組むとともに、プレゼンテーション能力(語学を含む)に優れた学生は、 あまり大変な思いをすることなく希望する企業に就職しています。プレゼンテーション能力を高めるために、思考力養成講座(環境と安全のリテラシー 教育の土台)も開き、就職活動を援助します。

★特別選抜について
学部在学生で、学部での成績が優秀な人(成績順位が上位1/3以内、成績順位が出ていない場合は最上位の評語が1/2以上)は特別選抜の対象 となります。

★マスターコースの定員について
環境リスクマネジメント専攻のマスターコースでは、基本的に1 名の教員について3名の院生という定員があります。最終的には先行全体の定員枠内であれば、それ以上の人数が入学可能なのですが、特別選抜に関してはこの 制限が適応されます。大学院マスターコースへの進学を考えている人は、よく研究室から事情を聞いておくことが望まれます。大学院に関する入学 試験・入学手続き等の情報は環境情報学府のページをご参照 ください。

学部生の具体的な研究ノルマは下記のとおりです。
◇配属後の3年次は1週間のうち15時間以上、研究室での研究活動に取り組む(在室時間を記録します)。
◇4年次は1週間のうち20時間以上、研究室での研究活動に取り組む(在室時間を記録します)。
◇3年次は2週間に1度、4年次は毎週1回、ゼミで研究の進捗状況を報告する。
◇就職活動を希望する者は4年次4月~5月の間、研究室在室時間の最低限度を10時間/週とするが、その他はゼミへの参加ノルマを含めて配慮 しない。4年次は就職活動に集中したいという学生は本研究室への配属は避けた方が良い。

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