表面反射率とK/S値

ある固体表面に光を照射した場合、その光は固体表面に吸収されるものと反射するものに分かれます。たとえば、固体表面が黒い場合、照射した光の大部分が吸収され、反射する光量は非常に少なくなります。逆に言えば、その表面から反射する光が多いと白っぽく見え、吸収光が多くて反射光が少ない場合に黒っぽく見えることになるのです。このように固体表面に照射した光の吸収・反射の割合で、表面の明るさが定義されます。そして、実際に条件の定められた光を当てて、その際に反射する光量の割合を反射率として測定する表面反射率計という機器があり、固体表面の明るさ、すなわち明度を測定するのに用いられます。

洗浄の評価を行う際、この表面反射率計で測定する表面反射率を指標として用いることがよくあります。たとえば白い布に黒っぽい汚れが付着している場合には、汚れ量が多いと反射率が低くなり、汚れ量が少ないと反射率が高くなります。なお、真っ黒の物質は反射率が0%、酸化マグネシウムを固めた平たい固体表面の反射率を100%とします。この反射率の変化から洗浄率の評価を行うのですが、その方法には主として2通りがあります。

汚れのついていない状態の反射率をRo、汚れのついた状態の反射率をRs、洗浄後の反射率をRwとすると、一般にはRo>Rw>Rsの順になります。そこで、次のような考え方があります。
D(%)=(Rw−Rs)/(Ro−Rs)×100     [1式]
ここに、D(%)が洗浄率です。式中の分母(Ro−Rs)は汚れが付着したことによる表面反射率の変化分です。そして、分母の部分(Rw−Rs)のRwがRoと同値になる、つまり洗浄後の布の反射率(Rw)が、汚れ付着以前の布の表面反射率(Ro)に等しくなると洗浄率が100%となり、洗浄後の布の反射率(Rw)が汚れ付着時の表面反射率(Rs)と等しくなれば洗浄率は0%となります。

このように、洗浄率が0%と100%の場合で矛盾なく、その間でも洗浄による汚れ除去量が多くなると洗浄率が高まるという関係が維持されるのですが、その値自体の意味については問題が残ります。たとえば、洗浄率50%との結果が得られたとして、その50%にどういう意味があるかということです。通常は洗浄率50%といえば、付着した汚れの半分量が除去されたと考える場合が多いでしょうが、1式で求められた洗浄率50%はそれにはあてはまりません。

洗浄率を算出するもう一つの方法は、表面反射率と汚れ量を直接結びつける変換式を用い、洗浄率と汚れ量との関係が一致するように工夫する手法です。そこで用いられるのが、Kubelka-Munk式です。表面反射率と汚れ量とを結び付けるには、次式を用います。
K/S=(1−R)2/2R      [2式]
ここにK/SはKubelka-Munk式によって算出される値、Rは反射率を示します。但し、Rは100%を1で表します。R=1の場合にはK/S=0となり、R=0.5の場合にはK/S=0.25、R=0.25の場合には1.125となります。よって、R=0.5とR=0.25との間で4.5倍の差があることが分かります。そしてKubelka-Munk式を利用しての洗浄率は次式で求められます。
D(%)=((K/S)s−(K/S)w)/((K/S)s−(K/S)o)×100   [3式]
ここに(K/S)sは汚染状態の表面反射率から求めたK/S値、(K/S)oは未汚染状態の表面反射率から求めたK/S値、(K/S)wは洗浄後の表面反射率から求めたK/S値をそれぞれ示します。最近ではこの3式による洗浄率算出が主体になってきています。但し、どのような条件においても本式が成立するとは限りませんから、その理屈をしっかりと理解したうえで利用することが望まれます。

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