JISの洗濯用洗剤の洗浄力試験法

JISで定められた洗浄試験はいくつかありますが、ここでは洗濯用粉石けんの洗浄力を評価方法と、合成洗剤の洗浄力を評価する方法を説明しましょう。どちらも、えりあか布を汚染布として用い、ターゴトメータという洗浄試験機を用いて洗浄試験を行い、試験対象とする洗剤の洗浄力を標準的洗剤による洗浄力との優劣で判断します。

(1)洗濯用石けんの洗浄力を評価する試験法
洗濯用石けんの洗浄力に関連するJISは「粉末洗濯石けん」(JIS K 3303)と「石けん試験方法」(JIS K 3304)があります。JIS K 3303では洗浄力試験方法としてJIS K 3304の洗浄力試験方法の従うことが記されていますので、結局はJIS K 3304に記載された洗浄力試験法がJISにおける石けんの洗浄力試験法ということになります。 JIS K 3304は石けんに関する種々の試験法を定めたもので、化学試験として水分、石油エーテル可溶分、総アルカリ及び総脂肪質などを求める方法、および物理試験として表面張力とpH値の測定法、そしてその他に洗浄力評価方法を定めています。ここで定められた洗浄力試験は、汚染布としてえりあか布を、洗浄試験機にはターゴトメータなどの攪拌型洗浄試験機を用い、洗浄力判定用の指標粉末洗濯石けんとの洗浄力の比較を行います。判定は目視です。

11×13cmの布を縫い代1cmとって11×24cmのえり布を作成し、ワイシャツや作業衣のえりに固定します。そして2〜7日間着用してえり布を汚染してえりあか布を作成し洗浄試験に供します。汚れの程度に応じて大汚れ、中汚れ、小汚れに区別しそれぞれの段階5枚ずつ、合計15枚のえりあか布を一つの実験に用います。えりあか布の縫い糸を抜いて2つに分け、それぞれを試験対象の石けん液で、もう一方を指標粉末洗濯石けんの水溶液で洗浄します。

指標粉末洗濯石けんは、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸を重量比で6:2:2に混合した脂肪酸を温浴で均一に溶解し、中和価を求めて中和に要する水酸化ナトリウムの量を算出し、中和に要する水酸化ナトリウムを含む20%水溶液中に混合脂肪酸を加えていきます。この操作は温浴中で攪拌しながらゆっくりと行います。そのまま2〜3時間攪拌し、遊離アルカリが0.1%以下になるようにします。こうして調整した石けんの純分を測定ます。そして、石けん(純石けん分換算):炭酸ナトリウム:硫酸ナトリウムが5:2:3の割合になるよう混合し、水分を蒸発し、乳鉢ですりつぶして洗浄力判定用指標粉末洗濯石けんが出来上がりです。

洗浄試験に使う水は塩化カルシウム二水和物118.0mgと塩化マグネシウム六水和物55.4mgを蒸留水またはイオン交換水で溶解して1000mLとします。すすぎ用の水は塩化カルシウム二水和物59.0mg、塩化マグネシウム六水和物27.2mgを蒸留水またはイオン交換水で溶解して1000mLとしたものを用います。指標粉末洗濯石けんは無水物換算1.00gを50℃、500mLの水に溶解し、30℃に放冷して先の洗浄試験用の水を500mL加えて1000mLの水溶液とします。試験対象の粉石けんは、これと同様の操作で標準使用濃度の水溶液を調整します。

ターゴトメータとは回転翼がタイプの攪拌型洗浄試験機の代表的なものですが、このターゴトメータを用いて30℃、回転数120±5rpm、10分間の15枚ずつのえりあか布を洗浄します。洗浄後のえりあか布を軽く絞って3分間のすすぎを2回繰り返します。

風乾後、対のえりあか布を再び縫合し、アイロンを当てて台紙に貼り付けます。それを3名の被験者で目視判定します。その結果をシェッフェの一対比較法に準じた方法で検定し、試験対象粉石けんが指標粉末洗濯石けんに比べて洗浄力が高いか、低いか、同等かを統計的に判断します。

(2)合成洗剤の洗浄力を評価する試験法
合成洗剤の洗浄力に関連するJISは「洗濯用合成洗剤」(JIS K 3371)、「合成洗剤試験方法」(JIS K 3362)がありますが、JIS K 3371では洗浄力試験法としてJIS K 3362の洗浄力試験法に従うことが記されていますので、結局はJIS K 3362に記載された洗浄力試験法がJISにおける洗濯用合成洗剤の洗浄力試験法ということになります。JIS K 3362は合成洗剤に関する種々の試験法を定めたもので、化学試験として石油エーテル可溶分の定量、エタノール可溶分の定量、各種界面活性剤の定性及び定量法など、物理試験として表面張力、起泡力と泡の安定度、耐硬水性など、そしてその他に洗浄力評価方法を定めています。ここで定められた洗浄力試験は、粉末洗濯石けんの場合と同様、汚染布としてえりあか布を、洗浄試験機にはターゴトメータなどの攪拌型洗浄試験機を用い、洗浄力判定用の指標洗剤との洗浄力の比較を目視で行います。

えりあか布は洗濯用粉石けんの洗浄試験に用いるものと同じで、洗浄力判定用指標洗剤はLAS、珪酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、硫酸ナトリウムを純分換算・無水物換算で15:5:7:1:55に量りとり乳鉢で粉末にします。その水分量を測定し、ゼオライトと無水物換算で83:17の割合で混合します。試験対象試料に蛍光増白剤が含まれている場合には0.5%の蛍光増白剤を加えても良いとしています。

使用水は塩化カルシウム二水和物133mgを蒸留水またはイオン交換水で1000mLに溶解したものを用い、洗浄力判定用指標洗剤は1.33gを1000mLの使用水に溶解し、試験対象試料はその標準濃度の1000mL水溶液を準備します。洗浄、すすぎ、判定の操作は粉石けんの洗浄試験と同様の手順です。

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