☆石けん系シャンプーが良かったという体験談が多いのはなぜか

 それにしても、インターネット上の掲示板やWEBサイトを眺めてみると、実に石けん系シャンプーの使用者による石けんシャンプー称賛の体験談で溢れている。この点についても多少触れておく必要があろう。
 まず、合成洗剤を追放して石けん使用を推進するという運動が、日本では1960年頃より実に40年間続いてきたという背景がある。その経緯等は拙著「合成洗剤と環境問題」の中で説明しているが、この問題は個人的な経験による「おすすめ商品の紹介」といったレベルの問題ではないということを知っておくべきだろう。合成洗剤の有害性を訴えて石けんを推進するという消費者団体があり、それらの団体の運動を支える方向で各種の石けん商品を製造・販売する企業がある。これらの組織が運営するサイトでは、当然合成洗剤の有害性と石けんの優位性を訴える情報が多くなっていることは当然である。
 また、特にそれらの組織に関与していない個人レベルでも同様の石けん推進を積極的に訴える情報も多い。これらの情報を発信する人たちは、特にインターネットが普及する中で、情報を受け入れるというだけではなく、自ら情報を発信していくということを一つの楽しみとしている、高度情報時代の先進的な人々である。いわば「インターネット・リーダー」とでも称されるべき人々であろう。これらのタイプの人々の特徴は、コンピュータ関連の経験・技術に長けているだけでなく、一般的な情報収集能力が高いことが大きな特徴として挙げられる。
 但し、この一般的な情報収集能力が高いという点は、実は合成洗剤・石けん問題に関しては、かなりまずい方向にベクトルが向かうことになる。合成洗剤問題の過去の経緯の中で、専門家レベルでの情報では合成洗剤には問題がないとする内容が一般的であるのに対して、一般消費者対象のレベルでの情報は合成洗剤に反対する勢力が圧倒的なシェアを占めている。よって、個人的なレベルで洗剤関連の情報を発信していこうとする人々も、ごく自然に合成洗剤有害説を信じて、それらの情報をもとに石けん推進の情報を発信していくことになる。そういった状況で、日本におけるインターネット上の石けん・洗剤関連情報は圧倒的に合成洗剤否定・石けん推進を主張する情報が多くなり、各種掲示板等でもインターネット・リーダーと呼べる人々は石けん推進を主体とした意見を述べることになる。
 かくして、インターネット上には、石けん関連団体や企業、そして個人レベルからも合成洗剤を否定して石けんを擁護する情報が多くなる。例えば、自由に書き込みのできるインターネット上の掲示板等でも、石けんの使用を推し進めることが使命ともなっている人々、合成洗剤の有害性を信じている人々、実際に石けんを使用してみて快適な感じた人々等が多数派を占める環境となっており、石けん系シャンプーを使用する際に伴う問題点挙げた際も、すぐさま助け船が入る。それらの助け船は、一般の消費者レベルでは、とても受け入れられない手間を要する様なアドバイスであるが、石けんを勧めることが「善」としての価値観が形成されている状況下では有り難いアドバイスとして受け入れられる。
 一度、じっくりと考えてみよう。非石けん系シャンプーを使ったとしても、それだけの情報収集と洗髪時の手間を惜しまずにヘア・ケアに徹すればどうなるだろうかと。現在、シャンプーが合わないという悩みに対して、石けん系シャンプーに替えろというアドバイスしか発せられない環境は、ある意味で異常であるとは感じないだろうか。
(2000年8月12日)

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