☆毛髪の質論議の注意点:生えている毛髪とこれから生える毛髪

 毛髪の質について考察する場合の第一の注意点は、既に生えている毛髪の質に関する問題と、新たに生えてくる毛髪の質に関する問題の2つに分けて考えることだ。新たに生えてくる毛髪の質は頭皮の状態や特に毛根の状態、また身体全体の健康状態等によって大きく左右され、それらの状態が良好になれば毛髪の質が良くなっていくということはあり得るが、既に生えてしまっている毛髪の健康状態は、基本的には悪くはなっても回復することはあり得ないということだ。もしも、上記のようにキューティクルが溶けてしまったのならば、その部分のキューティクルは2度と再生することはない。
 例えば、コールドパーマや毛染め処理等の場合をイメージしていただきたい。処理した部分は半永久的にカールがかかったり染色されたりしてもとの毛髪とは異なる性質になっているが、新たに生えてくる部分はもとのままであり、その境界部分がはっきりと識別できるはずだ。毛髪自体に加えられたダメージは、このコールドパーマや毛染め等と同様で回復することはあり得ないのだ。
 キューティクルが剥離し水分が保持できずにぱさついた毛髪は、その毛髪自体の力で回復することはできない。よって、コールドパーマをかけて、脱色し、夏中浜辺で太陽光線を浴びて、毛髪を引っ張れば僅かの力で簡単に切断してしまうような毛髪には、ダメージド・ヘア用のトリートメント剤等を用いて、内部に接着剤の役割を果たす成分を補給し、表面を油分で厳重に覆って保護するといったケアが必要となる。
(2000年8月12日)

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