戻る |
■ HANNA硬度計の注意点メモ | 2025.10.18 |
最近仕事の関係で頻繁に水の硬度を測定する必要があり、HANNAのポータブル全硬度計を用いて測定することとなりました。この装置は素早く簡単に水の硬度を測定することができる優れものです。ただ、測定しているうちに矛盾する結果が出ることもあり、また購入してから時間経過していたので試薬の劣化の可能性もあったので、実際の硬度と測定値との関係から検量線を作成することとしました。 しかし、そこで問題点。塩化カルシウム等を溶解して標準液を調製するにしても、塩化カルシウムは空気中の水分を含みやすいので正確な質量を測れません。なにぶん、シリカゲルを入れたデシケーター内でも水分を吸って潮解してしまいます。標準物質を使って…というのも面倒。そこで、今回は市販のエビアンを使って種々の硬度の標準液を調製し、その試料液を用いて検量線を作成し、それでこちらの準備した高硬度原水の硬度を求め、それを適宜希釈して各硬度の試料水を準備することにしました。12月に放送大学の実験授業があり、そこでも硬度を調整した試料水を準備する必要があるので、そこでも使えるようにと。 そのように準備して検量線を作成したところ、残念ながら実際の値と測定値との間にずれが生じました。0~250ppmの低硬度用では、100ppmあたりではずれは少ないのですが、それよりも低濃度では測定値が実際より大きく、100ppmよりも高濃度になると測定値が低くなってきます。特に硬度が高めになると反応が鈍くなります。それでEXCELを使って多項式近似で回帰式を求めて対応することに。この方法で、再現性良くかなり正確に硬度を求めることができました。 それで、このような結果になったのは試薬が古くなったことが原因かもしれないと思い、新たに専用の試薬を購入してやってみたところ…今度は実際の硬度が上がると測定値はどんどんと大きくなり200ppm水は測定値が250ppmを超えてしまい測定不可に。 試薬を変えたら検量線作成が必要条件になるようですね。その点は少し面倒になりますが、通常のEDTA法(ビュレットで滴下して溶液の色変化点を求める)よりはずっと楽なのでやはり今後もHANNAの硬度計を使う方法でやっていきましょう。 |