ATPふき取り検査(ルミテスタ―+ルシパック)(Q&A_023)
衛生試験では従来から微生物検査が行われてきた。これは、細菌の種類を判定してその菌数を測定する方法である。一般生菌数、大腸菌群、黄色ブドウ球菌など菌の種類によって試験方法が異なるが、菌を抽出した液を適宜希釈した検体液を培地付きのシャーレに塗布して一定期間培養し、コロニーの数と希釈率から菌数を算出する。手間と時間がかかり、専用施設等も必要でハードルが高かったが、近年は操作が簡易で短時間で検査が可能なATP試験がよく採用されるようになった。
ATP試験は、酵素(ルシフェラーゼ)がATPとルシフェリンを反応させて発光する現象を利用してATP量を測定するもので、現在はATPふき取り検査(A3法)がよく用いられるようになった。これは、生物を含む多くの有機物に含まれるATP(アデノシン三リン酸)を汚れの指標とした検査方法である。キッコーマンバイオケミファ株式会社のATPふき取り検査(A3法)は、ATP以外にADP(アデノシン二リン酸)とAMP(アデノシン一リン酸)も含めて検査ができるので、幅広い汚れを高感度に検査することができるとされている。ADPとAMPは加熱や発酵、酵素反応等によりATPが変化した物質である。ATP、ADP、AMPは細菌のほか、血液や体液等にも多く含まれている。
ATPふき取り検査(A3法)では専用の綿棒で10cm×10cmの範囲を縦方法、横方向にまんべんなくふき取り、その綿棒を反応液の入ったチューブに差し込んで数回振って抽出し、測定器本体(ルミテスタ―Smart)に差し込んで測定する。単位はRLU(Relative Light Unit)である。下記のルシパックA3 SurfaceやルシパックA3 Surface(湿潤綿棒)を用いるが、液体を対象とする場合は。ルシパック A3 Waterを用いる。
ルシパックA3 Surface 綿球部分を水道水or純水で濡らしてふき取り操作を行う。
ルシパック A3 Surface(湿潤綿棒) 水でぬらさずそのまま使用可。
ルシパック A3 Water サンプリングスティックを試験液に浸して軽くゆって先端部に試験液を採取
ほかに、ATPとAMPを測定する検査用の下記の製品がある。
ルシパックPen:綿球部分を水道水or純水で濡らしてふき取り操作を行う。
ルシパックPen-AQUA:サンプリングスティックを試験液に浸して採取。
ルシパックPenとルシパックPen-AQUAはATPのみを対象とするATP法よりも発光量は多くなる。但し、A3法の方がさらに発光量は増す。
参考URL:https://biochemifa.kikkoman.co.jp/kit/atp/
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横浜国立大学名誉教授 大矢 勝
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