ローリー法によるタンパク質汚れの定量(Q&A_020)
タンパク質汚れの定量は、アルカリ液で汚れを抽出し、その試料溶液を各種呈色反応で色付けし、その吸光度を測定するなどの方法がよく用いられる。以下、その方法の一つであるローリー法によるタンパク質汚れの定量法を説明する。
[タンパク質汚れの抽出]
50mm×50mmの試料布を対象とする汚れ抽出の場合、まず100mL共栓付き三角フラスコに0.1N水酸化ナトリウム水溶液100mLを入れる。95±2℃に調温したシェーキングウォーターバスに三角フラスコをセットし、水酸化ナトリウム水溶液の温度が高まったら試料布を入れて閉栓し、2時間振とうして抽出操作を行う。その後、開栓してピンセットで試料布を挟んで攪拌しながら三角フラスコから取り出し、閉栓して温度が下がるまで待ち、試料液とする。
試料布が小さい場合は容量の小さな三角フラスコを用いる、或いは共栓付き試験管を用いるなどの方法で適宜対応する。
[ローリー法によるタンパク質定量]
ローリー法は銅-Folin法ともよばれるタンパク質の定量法である。
まず以下の試薬A~Dを準備する。
A:2 % Na2CO3(0.1 N NaOH水溶液中)
B:0.5 % CuSO4・5H2O(1%酒石酸カリウムナトリウム水溶液中)
C:アルカリ性銅溶液(試薬A:50 mLと試薬B:1 mLとを混合)
D:1/2 希釈フェノール試薬
検体2 mLを試験管にとり,試薬C 10 mLを加えてよく混合し,10 min放置した後 1 mLの試薬Dをすばやく添加し直ちに混合する.30 min放置した後,分光光度計を用いて吸光度(波長=750nm前後)を測定する。
予め、既知濃度のタンパク質水溶液の吸光度から検量線を作成し、それを利用してタンパク質濃度を求める。また、木綿布等では布自体に含まれるタンパク質で発色するので、その吸光度も求めておき、後で補正に用いる。
[注意点]
ドイツ高温の強アルカリ液で抽出するので、絹や毛などのタンパク質繊維からの抽出には不適。
タンパク質溶液は静置しておくと不均一になるので、溶液を採取する際にはよく振ってから操作を行う。
95℃の条件では水は蒸発しやすい。溶液の濃度が非常に重要な試験なので、抽出時に蒸発を防ぐために閉栓する必要がある。一方、温度が十分に高まる前に閉栓すると加温による圧力上昇で栓が外れてしまうので、重文に加温した後に閉栓する。
タンパク質の種類によって最大吸収波長が多少異なるので、吸光度スペクトルをとって最大吸収波長を求めておき、その波長で吸光度を測定することが望ましい。
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横浜国立大学名誉教授 大矢 勝
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