皮脂汚れの成分は?(Q&A_019)

皮脂汚れの成分はトリグリセリド(正式名:トリアシルグリセロール)、脂肪酸とその他の汚れが全体のほぼ1/3ずつを占めると考えてよいが、より詳細なデータとして下記のものがある。

[肌シャツの皮脂汚れの成分1]
着用直後の肌シャツから抽出した皮脂汚れの成分として下記のデータがある。[1][2]

炭化水素:1~3%
スクアレン:10~12%
ワックスエステル:12~16%
コレステロールエステル:1~3%
コレステロール:1~3%
トリグリセリド:30~50%
モノ・ジグリセリド:5~10%
遊離脂肪酸:15~30%

[1] W.C.Pow, Detergency, Theory and Test Methods, Part1, Marcel Dekker, pp121-122 (1972)
[2] 皆川基他編, 洗剤・洗浄百科事典, 朝倉書店, p278 (2003)

[肌シャツの皮脂汚れの成分2]
また、日本人成年男性が4日間着用した下着からジエチルエーテル抽出物として下記のデータがある。[3]

炭化水素:2.1%
スクアレン:10.6%
コレステロールエステル及び他のステロイドエステル:2.1%
ワックス:21.0%
トリグリセリド:23.0%
ジグリセリド:2.3%
モノグリセリド:2.8%
遊離脂肪酸:30.2%
脂肪族アルコール:0.9%
コレステロール及び他のステロイド:1.5%
不明分:3.4%

その後ベンゼン・エタノール(80/20)抽出物。[3][4]

尿素:48.5%
変性物及び他の有機化合物:51.5%

[3]  林信太, 井上恵雄, 天然汚こう分析(第1報)人体汚こう脂質の分離分析, 油化学, 18(4), 176-183 (1969) https://doi.org/10.5650/jos1956.18.176

これらの皮脂汚れのより詳細なデータは下記の文献[4][5]に記されている。

[4]  林信太, 井上恵雄, 天然汚こう分析(第2報)人体汚こう脂質の脂肪酸, 脂肪アルコールの組成と分岐鎖物の構造について, 油化学, 18(5), 242-248 (1969) https://doi.org/10.5650/jos1956.18.242
[5]  林信太, 井上恵雄, 天然汚こう分析(第3報)人体汚こう脂質の炭化水素およびロウの組成について, 油化学, 18(5), 249-251 (1969) https://doi.org/10.5650/jos1956.18.249

[季節ごとの成分変化]
季節ごとの変化について調べたデータもある。[6]

[6] 角田光雄, 大場洋一, 柏一郎, 衣類の洗浄について, 油化学, 19(10), 935-945 (1970) https://doi.org/10.5650/jos1956.19.935

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横浜国立大学名誉教授 大矢 勝
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